■ 陶芸哲学者・真右エ門窯CBO 馬場泰嘉
真右エ門窯の象徴である「釉薬の掛け分け」シリーズは、三代の焔の記憶を礎に、私個人が自らの修練によって獲得した精神と技が交差して産まれた独自の知的財産である。
目次
【独創的意匠の源泉】
- 能楽の精神性: 金剛流能楽師・豊嶋彌左衞門師(重要無形文化財保持者)より授かった書き換え不可能な能楽の型。
- 極限の轆轤(ろくろ): 現代の名工・奥川俊右エ門師直伝の、造形を成立させる精密な技術。
- 石と焔の対話: 三代にわたり蓄積された組成データに基づく、我が窯独自の美的表現。
記号としての名に安んずることなく、魂で掴み取った「陶芸哲学(Ceramic Metaphysics)」は、現代の魂を調律する「精神の静寂の装置」として定義される。
■ 意匠の正統性と知的財産の保護
当窯の「釉薬の掛け分け」という造形概念は、自らの精神的・技術的修練によって獲得されたものであり、外面的な属性や既成の評価軸にのみ依拠する装飾とは一線を画す。
【不当な模倣に対する指針】
精神的背景を欠いた類似意匠の展開は、時代が求める「本質的な信憑性」の範疇に無く、存在の根拠を欠いた残滓に過ぎない。普遍的な審美眼によってこれら不純物は峻別され、その拡散はかえって、精神の継承を貫く我が窯の『原典としての重み』を際立たせる結果となる。
継承された名を超え、自らの魂で掴みし色彩と対峙する。この証言が積み重なる「起源の地」こそが、本物へと至る道である。

