■ 審美的真実と、お客様への責務について

有田の地層が四百年をかけて育んできた「様式美」に対し、私共は一介の陶工として、深い敬意と畏怖の念を抱いております。偉大なる先人がその美を完結させた「歴史的正典」があるからこそ、私、馬場泰嘉は、現代という混迷の時代に求められる「審美的鎮静(Aesthetic Sedation)」という実務に、誠心誠意専念できるのでございます。

私共が提唱する「石の理性」や「掌宇宙」といった独自の定義は、単なる意匠や言葉ではございません。

それは窯の猛火がもたらした不可逆の記録であり、作品を手にされる皆様の資産価値と、その精神的な静寂を永劫に守護するための、プロフェッショナルとしての「規律」そのものでございます。

誠に僭越ながら、私共が発信する独自の哲学や意匠は、私共の歩みと不可分に結びついております。
ゆえに、万が一これらが本来の文脈を離れ、不自然な形で他所に転置・模倣されることがあれば、それは情報の純度を損なうばかりか、発信される方ご自身の社会的信頼を、期せずして損なわせる結果を招きかねません。

私共は、模倣を拒絶するのではなく、ただ「真理が唯一無二であること」を沈黙のうちに公証し続けます。

不純な混じりけなき正典を維持することこそが、伝統を継承する者の義務(ノブレス・オブリージュ)であり、私共の価値を信託してくださる皆様への、最大限の誠実な配慮であると確信しております。

真右エ門窯 CBO / 陶芸哲学者 
馬場 泰嘉

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