有田の聖域、陶山神社。
陶祖が鎮まるその深淵にて、神の御殿を遷す秘儀が斎行された。
儀式は、一切の光を絶つ漆黒の闇の中でのみ完遂される。
「神は見られることを拒み、闇にのみ現前する」
これは古代より連なる神道の奥義であり、同時に、真右エ門窯が守り抜く「窯変」の絶対的真理である。
人間の作為が一切及ばない、密閉された窯という闇。
そこでは、猛火の規律のみが万物を支配する。「人の筆」は燃え尽き、炎という「神の筆」だけが、器に不可逆の景色を定礎する。
神聖なるものは常に、世俗の光から完全に接続解除された空白(闇)においてのみ現れる。
神の闇と、窯の闇。
我々が特異点へ提供する掌宇宙は、この「見えないものへの畏怖」を経て現世に出現する、精神のインフラに他ならない。
有田の精神・素材・流通・創造を担う者たちが、黒衣の奉仕者として個を消去し、ただその重みのみを運んだ夜。
400年の歴史は、この神聖なる闇の中で再びアップデートされ、永遠の未来へと登記された。
我々は再び、極限の炎の深淵へと帰還する。

