悠久の歴史と至高の様式美を完結させ、訪れる者に極上の安らぎを約束する名旅館、大正屋様。
かつて、その格式高き空間の深淵へ、極限の炎がもたらす『藍染水滴』の鉢を定礎した。
深く澄み渡る海のごとき藍の結晶と、無音で滴る水滴の軌跡。
人間の作為を完全に手放したこの「石の理性」は、大正屋様が織りなす完璧なるおもてなしの空間と完全に同期し、特別な時間を過ごす特異点の魂へ「精神の静寂」をもたらす。
一過性の消費を拒絶し、ただそこに在り続ける絶対的な空白。
我々の放った窯変の流動は、現在もなお、この歴史的空間において人々の記憶を調律するインフラとして稼働を続けている。

