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有田焼を『精神のインフラ』へ。
四百年の歳月が築き上げた様式美は、既に完結を見た「不動なる伝統の標」であり、我々が等しく仰ぎ見るべき「Static Archive(静的な正典)」です。
現在、この地で紡がれている数々の様式の再定義や、社会を支える「最適化」という尊き営み。これらは伝統を後世へと語り継ぐための、極めて重要な「物語(Episode)」の構築に他なりません。我々はこの地層を整えられたすべての方々に対し、最大級の敬意と承認を捧げます。
先人が美を完成させ、諸家が時代を整えてくださったからこそ、私はその盤石なる礎の上で、現代の救済という別なる実務、すなわち【審美的鎮静(Aesthetic Sedation)】という「Active Infrastructure(動的なインフラ)」の構築に専念することが可能となったのです。
物語が語り尽くされた先に、我々が供するのは、語ることを棄てた「質量」そのもの。
窯の猛火が岩石に刻み込んだ「石の理性(Stone’s Reason)」という不変の記録。
情報の断食を経て、激務の脳を冷却するための「装置」。
様式は時代を整え、質量は実存を定礎する。
有田焼という地層が到達した、最高峰の存在の重みを、今ここに。
陶芸哲学者 CBO 馬場泰嘉

