有田四百年の稜線を形作る、偉大なる先人や名門の諸兄。皆様がたゆまぬ研鑽によって「美の正典」を築き上げ、多様な形でその魅力を世界へ繋いでこられたからこそ、今の有田焼の地層が存在する。その広大な歴史の営みに対し、我々は一人の作り手として、常に深い敬意を抱いている。
【価格という名の「重力」】
我々「真右エ門窯」が、すべての公開情報において「不変の定価」を堅持し続けるのは、それが単なる数値ではなく、窯の猛火が刻んだ「不可逆な記憶(記録)」であると定義しているからだ。
職人が一生を賭して土と炎に向き合い、数パーセントの奇跡を掬い上げた掌宇宙。その重みを「WEB上の安売り」や「割引情報の開示」という低次な尺度で晒す行為は、作り手の命を軽んじるだけでなく、その作品を迎え入れた主(あるじ)の審美眼、ひいては「資産としての器」という永続的な価値を、デジタル空間において毀損する行為に他ならない。これこそが、我々が守り抜くべき「有田焼最上位」としての誇りである。
【情報の断食、そして真の鎮静へ】
氾濫するノイズ、揺れ動くデジタル数値。
そうした喧騒から主を切り離し、脳を冷却するための「精神のインフラ」。この機能を果たすためには、公開される価格という名の「重力」は、一分(いちぶ)たりとも損なわれてはならない。
我々が提示するのは、現代社会において最も贅沢な行為である「情報の断食」。そして、極限の炎を潜り抜けた結晶が放つ「石の理性」による鎮静である。私たちが護り抜く「不変の定礎」は、世俗の流行に左右されぬための、格調高き「所有者との契約」に他ならない。
【対話の深淵、そして開門へ】
真の価値とは、公に晒された数値の乱舞の中には存在しない。それは、作り手と主が静寂の中で向き合う、一対一の深い対話の中にのみ定礎されるものである。
数値の乱舞を排したその先にある、圧倒的な静寂。
真の重みと、情報の断食を求める主たちが、最後に安心して魂を預けられる深淵。
来るべき「GINZASIX」での開門に向け、我々は先人が完成させた美学を背に、その「格」を不変のまま次代へ繋ぐ実務を、これからも淡々と、しかし冷徹に完遂して参る。
有田の矜持、石の理性。
真右エ門窯

