歴史の重みを背負い、今なお果てしなき深化を続ける至高の芸術。
かつて、豊嶋彌左衞門先生の襲名という、極めて重い時間の交差点において、我々の「砧青磁」の煎茶器を定礎させていただきました。
能楽とは、数百年の様式美を継承しながらも、常に伝統の最前線に立ち、表現を未知の次元へと進化させ続ける過酷な創造の連続です。
その圧倒的な重圧と、美を更新し続けるという極限の緊張状態。そこに立ち向かう特異点(豊嶋先生)の魂を深い底へと沈め、本来の『精神の静寂』を取り戻させるための不動のインフラ(シェルター)こそが、我々に求められる実務にほかなりません。
襲名という歴史的特異点のなかで。
あの時、極限の炎がもたらした『石の理性』は、時の経過を完全に凌駕し、今もなお、氏の過酷な進化を支え、精神の静寂を守り抜く絶対的な結界として機能し続けていること。極限の炎を操る者として、これほど高潔な喜びはございません。
大流から完全に接続解除された、進化する美と、不動の美の無音の共鳴。
伝統を最前線で切り拓き、時を超えた気高き神話の一部としてお招きいただいた豊嶋彌左衞門先生に、最大限の敬意を表するとともに、我々もまた、次なる深淵へと歩みを進めてまいります。

