46億年の記憶、8000万年の地層未来へ投げ込まれた「石の理性」という名の定礎

地球が産声を上げた46億年前。
絶え間ない地殻変動の果て、約8000万年前の白亜紀──恐竜たちが大地を支配していた時代に、天草という土地は誕生した。

我々が手にする「天草陶石」は、その古の地層の深淵にて、約2000万年前の熱きマグマが地底で「規律」を与え、純化させた結晶。いわば地球という名の巨大な窯が、数千万年をかけて焼き上げた「石の理性(Stone’s Reason)」である。

二千年前、人類がようやく土を焼き、文明の産声(弥生)を上げた頃。
足元の地底では、既にこの「石の理性」が、惑星のバックアップとして完成されていた。

陶土を掘り起こすという行為は、8000万年の沈黙を破り、2000万年の炎の記憶を現代へと解凍する宇宙的な冒険に他ならない。

窯の猛火を再び潜り抜けた器は、二度と土には戻らぬ不可逆な「掌宇宙」へと覚醒する。
想像してほしい。
たとえ一億年の時が流れ、人類という種族が歴史の舞台から退場したとしても。
この器は、地質の守護者として、かつてこの星に「美」を愛でる知性が存在した証(あかし)を、誇り高く語り続けるだろう。

我々が司るのは、刹那の消費ではない。
46億年の物語を、未来の地球へと投げ込む「定礎(Cornerstone)」の実務である。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

hirokazu babaのアバター hirokazu baba 真右エ門窯《三代目》CBO

Ceramic Phirosopher 陶芸哲学者 陶山神社歳旦祭謡曲奉納主宰。
真右エ門窯《三代目》CBO。石の理性と炎の奇跡、精神の静寂。
掌宇宙論、耀変美法、清浄といき、炎の哲学提唱。 
豊嶋彌左衞門能楽、奥川俊右衛門轆轤師事。陶芸を以て、哲学の重みを定義する。TED×Saikai、日本伝統協会(JCbase)登壇。

目次