毎年、私たちは「陶交会謡曲部会」として、日々それぞれの窯で炎と向き合う窯元のリーダーの同志たちと共に、陶山神社にて奉納の謡(うたい)を捧げております。
私たちが執り行うこの奉納は、個人の表現やプロモーションを目的としたものではございません。
炎と歴史という『大いなるもの』を前にする時、私たち陶芸家は皆、一人の人間として等しく静寂の中に立ちます。
個々の看板や作風、技術の違いを超え、この地で土と向き合う者たちが同じ理(ことわり)と共鳴し、自らを四百余年の連鎖の中に置くための儀式に他なりません。
大いなるものとの境界が消え、響き合う声を通じて、私たちの胸に炎の精神が深く刻まれる。この年に一度の共鳴の連鎖こそが、私たちの日常であり、器を生み出すための不可欠な準備なのです。
炎という抗い難い力と共鳴し、その理に身を委ねることで初めて生まれる、必然の結晶。
それらが真右エ門窯の器となり、皆様のお手元に届くのであれば、それはまさに『宇宙の断片』そのものでしょう。
皆様の日常にこの器を置いていただくことは、私たちにとっても、この大いなる歴史と炎の軌跡を繋ぐ、新たな『定礎』の始まりであると信じております。

