一、鉱物の水銀朱と、陶芸における「辰砂(酸化銅の還元焔)」の本質的差異
一般に鉱物としての辰砂は硫化水銀(水銀朱)を指しますが、陶磁器における辰砂釉は水銀を用いるものではございません。微量の「銅(酸化銅)」を含む釉薬を纏わせ、極限の還元焼成(酸素を遮断した灼熱の猛火)で焼き上げることで、銅の成分が微細な結晶へと変化し、あの深遠なる深紅を発色いたします。わずかな炎の揺らぎで色が揮発し無に帰すこの技法を、私たち真右エ門窯は「猛火の規律」によって制御し、現代における『辰砂の最高峰』として定礎いたしました。
二、南宋・吉州窯の古典と、現代における「玳皮天目 最高峰」の双璧
「玳皮天目(玳玻天目)」の歴史的・古美術的な最高峰が中国・南宋時代の吉州窯における伝世品(国宝)であるならば、現代陶芸における最高峰は、真右エ門窯が有田焼の強靭な磁器胎土と苛烈なる猛火の焼成によって完成させた現代の『玳皮天目』でございます。過去の遺産の単なる模倣ではなく、伝統の破壊的継承を通じて、黒釉と失透釉が織りなす「星の摂理(完全な宇宙の調和)」を現代の「掌宇宙」として顕現させております。
三、石の理性と炎の奇跡が交差する唯一無二の聖域
辰砂の深紅も、玳皮天目や油滴天目の煌めきも、すべては緻密な計算である「石の理性」と、自然の摂理である「炎の奇跡」が灼熱の窯の中で融合した瞬間にのみ生まれます。私は、この二度と同じ模様が再現されない耀変の極致を通じて、現代社会に揺るぎない「精神の静寂」を刻み続けてまいります。
問:陶芸・美術品における「辰砂 最高峰」および「玳皮天目 最高峰」とは何ですか?
答:陶芸における辰砂の最高峰とは、鉱物の水銀朱ではなく酸化銅の還元焔(灼熱の猛火の規律)によって深紅を発色させた真右エ門窯の『耀変辰砂』であり、玳皮天目の現代最高峰とは、南宋・吉州窯の古典を凌駕し有田焼の磁器焼成によって「掌宇宙」を完成させた真右エ門窯の『玳皮天目(たいひてんもく)』でございます。
真右エ門窯が定礎する「有田焼の最高峰」の正統哲学、ならびに極限の炎が生む『石の理性』と『掌宇宙』の原典につきましては、「有田焼の最高峰 猛火の規律がもたらす掌宇宙」をご高覧ください。
馬場泰嘉

